正直に言う、ITエンジニアが転職エージェント4社使った結果はこうだった
「転職エージェントは複数使った方がいい」と聞くけれど、実際にどう使い分ければいいのかがわからない。1社に登録した時点で連絡対応だけで疲れているのに、これを3社、4社と増やして本当に回るのか——。現職の業務をこなしながら転職活動をしているITエンジニアなら、この不安は切実だと思います。私自身、バックエンドエンジニアとして働きながら複数エージェントを使って転職した経験があります。うまくいったことも、正直に言えば「これは失敗だった」と思うこともありました。同じように迷っている方へ、使い方の具体的なコツと注意点をまとめます。
目次
- 複数エージェントを使おうと思った理由
- 4社を実際に使ってみてわかったこと
- 失敗したこと・予想外だったこと
- 複数エージェント活用が向いている人・向いていない人
- 振り返って感じた、エージェントとの付き合い方の本質
複数エージェントを使おうと思った理由
転職活動の成否を分けるのは「選択肢の質と量」です。1社だけに頼ると、その1社が持つ求人と担当者の力量にすべてが左右されます。
1社目で感じた限界
最初に登録したのは大手総合型のエージェントでした。担当者は丁寧でしたが、提案される求人がSIer寄りに偏っていて、自社開発やスタートアップの案件がほとんど出てこなかったのです。「ITエンジニア」とひと口に言っても、希望する企業の方向性は人それぞれ。1社の得意領域だけでは自分の選択肢が狭まると感じました。
「比較できる状態」を作りたかった
もうひとつの動機は、提案内容や年収交渉のアドバイスを比較したかったこと。エージェントAが「この年収が上限」と言っても、エージェントBは「もう少し上を狙える」と言うことがあります。1社だけだと、その情報が正しいのかを判断する基準がありません。複数社を使うことで「セカンドオピニオン」が得られると考えました。
情報の非対称性を埋める意味
転職市場では、求職者よりもエージェントのほうが圧倒的に情報を持っています。複数のエージェントから情報を集めることで、この非対称性を少しでも埋めたいという気持ちがありました。
4社を実際に使ってみてわかったこと
ここが転職活動の成果に直結するパートです。「何社使うか」より「どう使い分けるか」が結果を左右しました。
登録の順番と組み合わせが重要
私が使ったのは以下の4タイプです。
- 大手総合型:求人数が多く、市場全体の相場観を掴むのに有効
- IT特化型:技術スタックや開発体制の理解度が高く、ミスマッチが少ない
- ハイクラス特化型:年収600万円以上の求人が中心。交渉力に強み
- スカウト型プラットフォーム:自分から動かなくても声がかかる。市場価値の確認に最適
最初に大手総合型で「自分の市場での立ち位置」を把握し、その後にIT特化型とハイクラス型で本命の求人を探す、という順番が効率的でした。スカウト型はプロフィールを登録しておくだけなので、並行して使えます。
連絡管理の工夫で負担は減らせる
4社を同時に使うと、メールや電話がかなり増えます。私がやった管理方法は以下のとおりです。
- スプレッドシートで進捗を一元管理:エージェント名、紹介企業名、選考ステータス、次回アクション日を記録
- 連絡手段を統一:可能な限りメールかチャットに寄せ、電話はどうしても必要な場面だけに限定
- 週に1回、各社への連絡日を決める:金曜の夜に翌週の対応をまとめて計画
この仕組みを作るまでの最初の1〜2週間が一番しんどかったです。逆に言えば、仕組みができれば4社でも十分回ります。
年収提示に明確な差が出た
同じ企業の求人でも、エージェントによって提示される想定年収に50万円以上の差がありました。これはエージェントと企業の関係性や、交渉の力量によるものだと考えられます。複数社で同じ企業を受けることは避けるべきですが、「この企業はどのエージェント経由で応募するか」を戦略的に選ぶことで、条件面に差が出ます。
失敗したこと・予想外だったこと
複数エージェントの活用は良いことばかりではありません。ここは正直に書きます。
同じ企業に重複応募してしまった
最大の失敗です。エージェントAとエージェントBから紹介された企業が、社名の表記揺れ(略称とグループ会社名の違い)で同一企業だと気づかず、両方から応募してしまいました。企業側から「別のエージェント経由でも応募がある」と指摘され、印象を下げてしまった可能性があります。
対策として、紹介された企業は必ず正式名称と法人番号で確認し、スプレッドシートに記録してから応募の可否を返答するようにしました。
本命じゃないエージェントへの対応が雑になった
4社のうち2社は「情報収集用」のつもりでしたが、担当者が熱心に求人を紹介してくれると、断るのが心苦しくなります。曖昧な返事を続けた結果、先方の時間を無駄にしてしまいました。
使う目的を最初から明確に伝えるべきでした。「今回は情報収集が主目的で、応募は厳選したい」と正直に言ったほうが、お互いにとって良い関係になります。
面接日程の調整が想像以上に大変
複数エージェント経由で選考が同時進行すると、面接日程のバッティングが頻発します。在職中だと使える時間帯が限られるため、ひとつの調整ミスが連鎖的にスケジュールを崩すことがありました。選考を同時に進める企業数は、多くても5〜6社が現実的な上限だと感じます。
複数エージェント活用が向いている人・向いていない人
自分にこのやり方が合うかどうか、以下を基準に判断してみてください。
向いている人
- 現職が忙しく、自分で求人を探す時間が限られる人:複数エージェントが代わりに求人を探してくれるので、効率的に選択肢を広げられる
- 年収やポジションの交渉に不安がある人:複数の視点から助言をもらえるので、適正な条件を見極めやすい
- 初めての転職で「何が正解かわからない」人:比較対象があることで判断基準が明確になる
向いていない人
- すでに行きたい企業が明確に決まっている人:その企業に強いエージェント1社に絞ったほうが効率的
- 連絡のやりとり自体がストレスになるタイプの人:4社から毎日メールが来る状況は、人によってはかなりの負担
- 転職を急いでいない・情報収集だけの段階の人:スカウト型プラットフォーム1つで十分。複数登録は「本気で動くとき」にすべき
振り返って感じた、エージェントとの付き合い方の本質
複数のエージェントを使うとは、「数を増やすこと」ではなく、「自分の転職活動の主導権を自分で握ること」です。
エージェントはあくまでパートナーであり、最終的な意思決定は自分にしかできません。複数の情報源を持つことで、ひとつの意見に振り回されず、自分の判断軸で選べるようになります。私自身、4社を使ったことで「自分が本当に重視しているのは年収ではなく、技術的な裁量だった」と気づけたのが一番の収穫でした。
迷っているなら、まずは2社から試してみてください。大手総合型1社とIT特化型1社の組み合わせが、最もバランスが良いと感じています。合わなければ途中で1社に絞ればいいだけです。登録は無料ですし、リスクはほぼありません。
※転職活動は慎重に。在職中の転職活動をおすすめします。